近年、全国の婦人相談所がストーカー被害者を一時保護するケースが増加傾向あることが、都道府県に実施したアンケート調査で分かった。
深刻なストーカー犯罪が相次ぐ中、2012年度以降でストーカー被害者を一時保護するケースは少なくとも計165件に上っており、2013年施行された「改正ストーカー規制法」で被害者の支援拠点に位置付けられた婦人相談所が、「駆け込み寺」的なものとして国民に浸透してきたことも示している。
同アンケート調査は9月、婦人保護事業などの担当部署にストーカー被害者支援について質問し、全都道府県が回答したという。
一時保護件数は非公開の自治体や統計のない自治体もあるが、回答によると2012年度は27件、2013年度は88件、2014年度は集計済みだけで50件となっており、年々増加傾向にある一方、ドメスティックバイオレンス(DV)被害者らも受け入れる婦人相談所では今後もストーカー被害の一時保護や相談が増える場合には「対応が困難」と11都県が回答しているという。
この数字からも全都道府県の約3割が専門的な相談窓口の必要性を感じており、態勢の拡充が今後の課題として浮かび上がっているのも現状だ。
今後、ストーカー被害者の一時保護や相談が増えた場合、婦人相談所など既存の体制で対応できるかの質問に対しては27自治体が「対応できる」、11自治体が「対応は難しい」と回答しており、対応困難な理由としては、「人員・ノウハウ不足(奈良)」「DVの保護が増え、余地が少ない(福島)」などで「男性被害者の保護は対応できない(滋賀)」との声もあったという。
また、ストーカー専門の相談支援窓口の設置については14自治体が「必要性を感じる」、12自治体が「感じない」と回答しており、必要と感じる理由としては「被害者は精神的にも深い傷を負い、専門的な相談支援が必要(栃木)」「加害者が極端な行動を取って命が脅かされる可能性が高く、婦人保護事業では限界がある(福岡)」などだった。
「改正ストーカー規制法」施行後も増加傾向にあるストーカー犯罪や、なかなか表面化してこないDV被害、全ての対応を行うには、やはり各種専門の相談支援窓口が必要ではないだろうか。