「ストーカー規制法」が改正へ動き出した
2016年8月4日、自民党と公明両党はSNSを使った執拗な書き込みを「ストーカー規制法」の規制対象に加えた上で、罰則も強化する改正案をまとめた。
この改正案は、議員立法として秋の臨時国会に提出する予定だという。
今後、野党の理解が得られれば、全会一致で正式に再改正された「ストーカー規制法」が施行される予定となる。
2016年8月4日 産経ニュースより引用
与党ワーキングチームがストーカー規制法改正案 警告経ずに警察が禁止命令可能に SNSも規制
自民、公明両党のワーキングチームは4日、ストーカー規制法の改正案をまとめた。
緊急時には警察がストーカーに対して警告を経ずに最初から禁止命令を出せるようにすることや、会員制交流サイト(SNS)上の行為を規制対象に加えることなどが柱。
報復防止のため、ストーカー行為罪を非親告罪とし、被害者の告訴なしで起訴できるようにする。
両党は党内手続きや野党との協議を経て秋の臨時国会に改正案を提出、成立を図りたい考えだ。
2016年8月4日 テレ朝ニュースより引用
ストーカー規制法改正案 秋の臨時国会で提出へ
自民・公明両党は、フェイスブックやツイッターの書き込みなどを取り締まりの対象に加えるストーカー規制法の改正案をまとめました。
改正案は、今年5月に東京都の小金井市で、アイドル活動をしていた女子大生がSNSに脅迫的な書き込みをしていたファンに刺された事件を踏まえてまとめられました。
SNSなどへのコメントの書き込みも取り締まりの対象に加えるほか、罰則を強化して、警察が加害者に警告していなくても都道府県の公安委員会が禁止命令を出せるようにすることなどが盛り込まれています。
自民・公明両党はこの改正案を秋の臨時国会に提出し、野党を含めた全会一致での成立を目指すことを確認しました。
2016年8月4日 朝日新聞より引用
SNSもストーカー規制法の対象に 自公案まとまる
自民、公明両党は4日、SNSを使った執拗(しつよう)な書き込みを規制対象に加え、罰則も強化するストーカー規制法改正案をまとめた。議員立法として秋の臨時国会に提出する予定で、野党の理解も得て成立をめざす。
両党は、東京都内で5月、音楽活動をしていた女子大学生がファンに襲われた事件を受けて検討してきた。改正案では、「つきまとい等」の規制対象に、相手に拒まれたにもかかわらずSNSでメッセージを送信したり、コメントの書き込みを続けたりすることを追加する。
ストーカー行為を被害者の告訴が必要な親告罪から非親告罪に変更。ストーカー行為に関する禁止命令違反は、現行の「懲役1年以下、罰金100万円以下」から「懲役2年以下、罰金200万円以下」に引き上げる。また、加害者に対する警察の警告を経ずに、都道府県の公安委員会が禁止命令を出せるようにする。
ストーカー規制法とは?
一般的には「ストーカー規制法」の通称で呼ばれているが、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」というのが正式名称だ。
「ストーカー規制法」施行前の日本国憲法は、「ストーカー」という行為を規制するしっかっりとした法律は存在していなかった。
しかし、1999年10月26日に埼玉県桶川市のJR東日本高崎線桶川駅前で発生した「桶川ストーカー殺人事件」がきっかけとなり、「ストーカー行為などの規制などに関する法律」として2000年11月24日に施行されている。
「ストーカー行為等の規制等に関する法律」の概要
規制対象となる行為を、恋愛感情に関するものに限定しており、女性だけでなく、男性も保護対象としている。
本法律の「ストーカー行為」とは、「つきまとい行為」を反復して行っていることが定義となっています。
「ストーカー行為」は親告罪(告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪)で、罰則は6か月以下の懲役、または50万円以下の罰金となります。
また、警察は警告書による警告ができ、この警告に従わない場合、都道府県公安委員会が禁止命令を出すことができ、命令に従わない場合、1年以下の懲役または100万円の以下の罰金となります。
※ 告訴以外にも、被害者の申し出により警察が弁護士の紹介や防犯アラームの貸し出しなど、国家公安委員会規則に基づく援助を行います。
「ストーカー規制法」施行から現在まで
現在までの「ストーカー規制法」に関する動きを下記にまとめてみた。
2000年11月24日
「ストーカー行為などの規制などに関する法律」が施行される。
※1999年10月26日に埼玉県桶川市のJR東日本高崎線桶川駅前で発生した「桶川ストーカー殺人事件」がきっかけとなった。
※「桶川ストーカー殺人事件」についてはこちらをご覧ください。
2013年6月26日
2000年の「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」成立以来初の改正案が衆議院で可決、成立する。
※2012年11月6日に神奈川県逗子市で発生した「逗子ストーカー殺人事件」がきっかけとなった。
2013年7月23日
「改正ストーカー行為等の規制等に関する法律(改正ストーカー規制法)」の一部である「電子メールによる嫌がらせ」が施行される。
2013年10月3日
「改正ストーカー行為等の規制等に関する法律(改正ストーカー規制法)」が施行された。
2016年06月20日
警察庁は全国の警察に対し、多様化するストーカー事件の被害者と加害者の関係などを想定し、SNSなどの判断が難しい場合でも広くストーカー被害と捉え、警察本部の専門部署に速報するように指示する。
※2016年5月21日に東京都小金井市のイベント会場で発生した「小金井市女子大生ストーカー刺傷事件」がきっかけとなった。
「警察庁SNSでもストーカー対応指示」についてはこちらをご覧ください。
「小金井市女子大生ストーカー刺傷事件」についてはこちらをご覧ください。
ストーカー規制法とストーカー事件の関係性
「ストーカー規制法」は、施行から現在まで1度の法改正を経ている。
そして、施行された経緯に「桶川ストーカー殺人事件」が関わっており、1度目の改正となった経緯にも「逗子ストーカー殺人事件」というストーカー犯罪が関わっている。
また「逗子ストーカー殺人事件」では、当時千葉県八千代市に所在していた探偵業者(現在廃業)と、東京都の情報屋(逮捕・起訴)が関わったことにより、被害者の個人情報がストーカー行為を行っていた人物に漏洩してしまったという探偵業界としても問題になった事件である。
※悪質な探偵業者と情報屋が関わった「逗子ストーカー殺人事件」の概要についてはこちらをご覧ください。
人が人を傷つける度に、少しずつ変化を遂げていく「ストーカー規制法」。
現在はSNSも普及しているため、メールよりはSNSでの被害も多く、「SNSストーカー」と呼ばれる悪質なストーカー行為も急増している。
※「SNSストーカー」についてはこちらをご覧ください。
その他にも、下記のようにストーカー行為による重大犯罪が多数発生している。
2011年
11月 長崎県
2013年
11月 福岡県・大阪府(ストーカー行為手助け)
11月27日 千葉県市川市八幡
2014年
4月19日 愛知県丹羽郡
5月2日 大阪府大阪市平野区
6月28日 神奈川県横須賀市
10月16日 京都府(知人女性の自転車サドル裏にGPS)
12月16日 愛媛県松山市
今までは、現行の法律が時代の変化に対応できていないため、ストーカーによる重大事件が発生した後に見直され、改正されるという悪循環な「ストーカー規制法」になっているのが現状だった。
ストーカー規制法の改正部分
「ストーカー規制法」1回目の改正部分と、2016年秋に提出される改正案をまとめてみた。
2013年の「ストーカー規制法」改正部分
2013年に改正された「ストーカー規制法」の主な変更点は下記となる。
1. 相手に拒まれても繰り返し電子メールを送信する行為を、「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」で定める「つきまとい等」に追加して取り締まりの対象とする。
2. 被害者の居住地だけでなく、加害者の居住地や違法行為があった場所の警察署・公安委員会でも「つきまとい行為」に対する禁止命令や警告を出せるようにする。
3. 警察が警告を出したら被害者に知らせ、警告しない場合は理由を書面で通知する。
2016年秋の「ストーカー規制法」改正案
2016年秋に提出される「ストーカー規制法」の主な改正案は下記となるようだ。
1. 報復防止のため、「ストーカー行為」を被害者の告訴が必要な親告罪から、非親告罪に変更し、被害者の告訴なしで起訴できるようにする。
2.「ストーカー行為」に関する禁止命令違反は、現行の「懲役1年以下、罰金100万円以下」から「懲役2年以下、罰金200万円以下」に引き上げる。
3.警察が加害者に警告していなくても都道府県の公安委員会が禁止命令を出せるようにする。
4.SNSなどへのコメントの書き込みも規制対象に加える。
ストーカー被害者を助けられる法律の施行を!
今回、改正されれば「ストーカー規制法」施行後では2度目となる。
エルとしても、今よりも被害者の保護を優先し、加害者には早期に対応していくという法律への早期改正を以前から訴えていたので、今後の動向は気になるところだ。
1度目の改正時にはメールは規制対象となったものの、SNSは対象外となり含まれなかったために、東京都小金井市のイベント会場で「ストーカー刺傷事件」が発生してしまったという経緯もある。
今後、ストーカーによる新たな重大事件を発生させないためにも、現在進行形でストーカー被害に悩んでいる方々を助けられる法律の施行を切に願っている。