やっとストーカー規制法がSNS対象となった
今、家の前にいるんだけど!
えっ??なんで勝手に来ないでよ!!
なんで別にいいじゃん!
少しでいいから会ってよ!
俺の気持ち言ったよね!
なんで読まないの?
早く返事しろよな!
怒らせんなよ!!
今までこの「エルのひとり言」でも下記のように幾度となく取り上げてきたストーカー問題で進展があった。
※過去の「ストーカー関連」記事はこちらからご覧ください。
2016年12月6日、Twittre(ツイッター)、LINE(ライン)、Facebook(フェイスブック)などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への送信も規制の対象に加えた「改正ストーカー規制法」が衆議院本会議で全会一致で可決、成立した。
朝日新聞デジタル 2016年12月6日より引用
ストーカー規制、SNSも対象 罰則強化の改正法が成立
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上でつきまとう行為を新たに禁じる改正ストーカー規制法が6日、成立した。SNSでの行為もからんだ深刻な被害が後を絶たないことを受け、罰則の強化や禁止命令の手続きの迅速化なども盛り込まれた。
改正法では、相手から拒まれているのにSNSやブログにメッセージを送ったり書き込んだりし続ける行為が、規制対象に追加された。東京都小金井市で今年5月、音楽活動をしている女子大学生が男に刃物で襲われた事件で、大学生はツイッターなどへの男の執拗(しつよう)な書き込みについて警視庁に相談していた。現行法ではメッセージの内容に違法性がなければ取り締まれないことなどを受けて検討された内容だ。
規制対象の行為をした加害者に各地の公安委員会が出す禁止命令については、従来は警察の警告を経て出していたが、警察による警告がなくても出せるようになるほか、警察本部長や署長への委任も認めるなど、状況に応じて迅速、効果的に対応できるようにした。
禁止命令に違反して、規制対象行為を繰り返す「ストーカー行為」をした場合、従来の倍の2年以下の懲役か200万円以下の罰金とするなど、刑法の強要罪や脅迫罪と比べ軽かった罰則を引き上げた。また、ストーカー行為は、起訴するには被害者の告訴が必要な親告罪だったが、この規定をなくした。(伊藤和也)
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■ストーカー規制法の改正の内容
【規制行為】
・SNSやブログにメッセージを送ったり書き込んだりし続ける行為、住居付近などをみだりにうろつく行為を規制対象に追加
【罰則】
・ストーカー行為は現行の2倍の懲役1年以下か100万円以下の罰金に、禁止命令に違反してのストーカー行為も2倍の懲役2年以下か200万円以下の罰金に引き上げ
・被害者の告訴が必要な親告罪規定を撤廃
【禁止命令の手続き】
・公安委員会による禁止命令は警告を経ずに出せるように。警察本部長や署長に委任して行わせることも可能に
【被害防止など】
・ストーカー行為をする恐れがある者に対し被害者の名前や住所などの情報を提供することを禁止
・国や地方公共団体は職員らに、被害者の人権などに理解を深める研修・啓発を行う。加害者の更生や被害者の健康回復に関する調査研究、防止や保護のための措置に努める
(※禁止命令の手続きは公布の6カ月後に施行、それ以外は公布の20日後に施行)
東京新聞 2016年12月6日夕刊より引用
ネットストーカーに網 SNS規制、改正法が成立
会員制交流サイト(SNS)による付きまといを新たに規制対象とすることや、罰則強化を柱とする改正ストーカー規制法が六日、衆院本会議で可決、成立した。改正は二〇〇〇年の成立以来二回目。中高生らの間で深刻化するインターネット上のストーカー行為に幅広く規制の網を掛け、凶悪事件を食い止めるのが狙いだ。
主な改正点は、SNSのメッセージの連続送信や、個人のブログへの執拗(しつよう)な書き込みといった電気通信による付きまといを広く定義し、規制対象にする。現行法は電話やメールなどの手段を列記しているため、新たな通信技術が普及するたびに改正が必要だった。
ストーカー行為罪の懲役刑の上限を「六月以下」から「一年以下」に引き上げるなど罰則も強化する。被害者が告訴をためらっていても起訴できるよう「非親告罪」に変更する。
また、公安委員会が加害者に禁止命令を迅速に出せるよう、緊急の場合、事前の警告がなくても可能にする。禁止命令は、公安委員会の委任を受けた警視総監や道府県警本部長らも発令できるようにする。
東京都小金井市で今年五月、音楽活動をしていたTさん(21)がファンの男に刺されて一時重体となった事件では、警視庁はTさんから「ツイッターにしつこく書き込みをされている」と事前に相談を受けていたが、防げなかった。規制法にSNSの明文規定がないことも問題化した。
公布日はまだ決まっていないが、施行日は禁止命令の見直しが公布日から六カ月後、それ以外は二十日後の見通し。改正法案は先に審議した参院を十一月十八日に通過した。
共同通信 2016年12月6日より引用
改正ストーカー規制法が成立
ネット上の行為、幅広く対象に
会員制交流サイト(SNS)による付きまといを新たに規制対象とすることや、罰則強化を柱とする改正ストーカー規制法が6日、衆院本会議で全会一致により可決、成立した。改正は2000年の成立以来2回目。中高生らの間で深刻化するインターネット上のストーカー行為に幅広く規制の網を掛け、凶悪事件を食い止めるのが狙いだ。
主な改正点は、SNSのメッセージの連続送信や、個人のブログへの執拗な書き込みといった電気通信による付きまといを広く定義し、規制対象にする。現行法は電話やメールなどの手段を列記しているため、新たな通信技術が普及するたびに改正が必要だった。
共同通信 2016年12月12日より引用
改正ストーカー法、積極適用指示
警察庁、全国の警察担当者に
警察庁は12日、全国の警察本部のストーカー対策担当課長を東京都内に集め、会議を開いた。改正ストーカー規制法が6日に成立し、会員制交流サイト(SNS)による付きまといが新たな規制対象となり、種谷良二生活安全局長は「改正法の効果が最大限発揮されるよう積極的に適用し、迅速な取り締まりに努めてほしい」と求めた。
会議は、改正法の趣旨などを確認するために開催した。種谷氏は、ストーカー事案について「認知段階では軽微な罪状でも、殺人などの重大事件に発展する恐れがある」と述べ、個々の危険性を踏まえた措置を徹底するよう指示した。
ストーカー規制法はどんな法律?
名称の由来としては、ストーク(stalk)が「執念深く付きまとう」という意味であるため、「付きまとう人」を指すストーカー(stalker)となった。
法律施行のきっかけは、1999年10月26日に埼玉県桶川市のJR東日本高崎線桶川駅前で発生した「桶川ストーカー殺人事件」であり、それ以前までストーカー行為を規制する法律が存在しなかったため、同行為を規制する目的で2000年11月24日に施行されたのが「ストーカー行為等の規制等に関する法律」だ。一般的には「ストーカー規制法」という通称で呼ばれている。
この「ストーカー規制法」は2000年の施行以来、今回で2度の改正を経ているのだが、いずれの改正にも凄惨なストーカー事件がきっかけとなっているという悲しい現実もある。
「ストーカー規制法」では同一の者に対し、「つきまとい等」を繰り返して行うことを「ストーカー行為」と規定して罰則を設けている。
ただし、「つきまとい等」の行為については、身体の安全や住居等の平穏もしくは名誉が害された場合、行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限るとされている。
「ストーカー規制法」の目的とは、ストーカー行為について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置などを定めることにより、個人の身体・自由及び、名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的としている。
そして「つきまとい等」を繰り返すストーカー行為者に警告を与えたり、悪質な場合は逮捕することで被害者を守る法律だ。
ストーカー規制法の歴史
「ストーカー規制法」は施行後も、改正を重ねながら現状に至っているので簡単な歴史をご紹介したいと思う。
ストーカー規制法のきっかけ
「ストーカー規制法」施行のきっかけとなったのは先程お伝えした「桶川ストーカー殺人事件」であり、日本国憲法の中でストーカーを規制する初の法律となったのだが、1999年10月26日に事件が発生してから約1年もの歳月を経て2000年11月24日に施行されている。
ストーカー規制法1度目の改正
2013年6月26日、2000年の「ストーカー規制法」施行以来、初の改正案が衆議院で可決、成立する。
この1回目の改正のきっかけとなったのは、2012年11月6日に神奈川県逗子市で発生した「逗子ストーカー殺人事件」であり、2013年7月23日に改正法の一部である「電子メールによる嫌がらせ」が先行して施行、2013年10月3日に「改正ストーカー行為等の規制等に関する法律(改正ストーカー規制法)」が施行された。やはり事件発生からは約1年という歳月を経ている。
ストーカー規制法2度目の改正
2016年12月6日、2000年の「ストーカー規制法」施行以来、2度目の改正案が衆議院で可決、成立する。
この2回目の改正のきっかけとなったのは、2016年5月21日に東京都小金井市のイベント会場で発生した「小金井市女子大生ストーカー刺傷事件」であり、1回目の改正によって含まれていなかった部分を補う目的と、「改正ストーカー規制法」の見直しなどを踏まえて強化された。
「改正ストーカー規制法」の変更点は?
「ストーカー規制法」が規制している対象は2000年の施行以降、変わっておらず下記の2つとなる。
つきまとい等
ストーカー行為
今回の「改正ストーカー規制法」で変更された主な項目は以下の通りとなる。
1.SNSに対するメッセージの連続送信を付きまとい行為に追加
【改正前】
実際に相手を尾行したり、電話・FAXなどの手段が付きまとい行為となり、ストーカー規制法が適用される。
【改正後】
無料通信アプリLINE(ライン)、Facebook、TwittreなどのSNSでしつこくメッセージを送信することも付きまとい行為となり、ストーカー規制法が適用される。
電気通信による付きまとい行為を広く定義し、規制対象とした。
2.個人のブログへの執拗な書き込みを付きまとい行為に追加
【改正前】
ブログに中傷を書き込んだりしてもストーカー規制法の対象外となる。
【改正後】
ブログに中傷を書き込む行為もストーカー規制法が適用される。
電気通信による付きまとい行為を広く定義し、規制対象とした。
3.住居付近などをみだりにうろつく行為を付きまとい行為に追加
【改正前】
住居付近などをみだりにうろつく行為はストーカー規制法の対象外だった。
【改正後】
住居付近などをみだりにうろつく行為をストーカー規制法の対象に追加した。
4.加害者に対する懲役刑の厳罰化
【改正前】
ストーカー行為罪の懲役刑の上限は6月以下、罰金は50万円だった。
【改正後】
ストーカー行為罪の懲役刑の上限を6月以下から1年以下、罰金も50万円から100万円に引き上げた。
また、禁止命令に違反してのストーカー行為は2倍となる懲役2年以下、罰金も200万円以下に引き上げた。
5.非親告罪化
【改正前】
公安委員会は、被害者の告訴がなければ起訴できない「親告罪」だった。
【改正後】
被害者が報復を恐れ、告訴をためらっている場合でも、公安委員会は告訴なしに起訴できる「非親告罪」に変更された。
6.緊急の場合、事前の警告がなくても公安委員会による接近禁止命令が可能
【改正前】
公安委員会が加害者に対し、ストーカー行為をやめるよう警告したにも関わらず、従わなかった場合のみ禁止命令が出せる。
また、公安委員会は加害者の弁明も聞かなければならない。
【改正後】
公安委員会が加害者に対して禁止命令を迅速に出せるよう、緊急の場合、ストーカー行為をやめるよう事前に警告していなくても禁止命令を出せる。
また、禁止命令は公安委員会の委任を受けた警視総監・道府県警本部長・署長らも発令できるようになった。
7.被害防止などの追加項目
【改正後】
①ストーカー行為をする恐れがある者に対し、被害者の名前や住所などの情報を提供することを禁止した。
②国や地方公共団体は職員らに、被害者の人権などに理解を深める研修・啓発を行う。また、加害者の更生や被害者の健康回復に関する調査研究、防止や保護のための措置に努める。
今後もその時代に見合った形で改正されていくであろう「ストーカー規制法」。
今までのような、重大事件が発生してからの後手の改正ではなく、先見の明を持った「改正ストーカー規制法」となることを切に願っています。